カイの毛引き


2007年1月初め、突然毛引きになりました。
毛引きはその鳥さんにも大きなことですが、飼い主にとっても非常に困った症状です。
今までのお世話してきた全ての事柄が間違っていたような気持ちになりますし。
原因も治し方も様々です。
クセになりやすく、万年毛引きになってしまったりします。
カイへの対処をそのまま実践という訳にはいかないでしょうが、
毛引きで悩んでいる方の参考になればうれしいです。

何よりも早い原因究明と早い対応に限ると思います。

胸のあたりに一筋・・・わかりますでしょうか?

さて!何が原因だろうと3ヶ月〜半年前まで遡り、
どういう環境変化があったか、考えてみました。

1、鳥部屋の模様替え
2、リーが亡くなってカイのお隣が空き家になった。
3、おとうちゃんが出張がちで不在が増えた。
4、おかあちゃんが教習所へ通い、留守番生活になった。
5、発情抑制のため、スリスリを厳しく止めさせた。

これらが、なんと3ヶ月の間に起こっていました。
カイの立場に立てば、なんという変化だったでしょうか。
かわいいかわいいと言いながら、人間の都合だけを押し付けていたんですね。
その後1週間でここまで広がりました。
おとうちゃんが出張へ行って帰って来たとき、
カイを見て絶句!

様々な本を読み、海外のサイトまで見てみたりしました。
これまでにアロマテラピーを試したり、隣に大好きなちょこぼを
連れて来たり、ケージをリビングが見える場所に移動したり、
教習所もお休みして傍にいたりといろいろやってみましたが、
急激に毛引きし始め、やりだすと気が狂ったようになっていました。

思い返すと、12月に入った頃から毛づくろいを必死にやっていました。
そこまでしなくてもと思うくらいに、1日中。

獣医さんに相談したところ、お友達を迎えて治った子もいるし、
1日中ポシェットに入れて治した人もいると・・・。
とりあえず、治っても治らなくてもお友達は迎えてあげようと、リンを迎えました。
しばらく留守番は最小限にしました。

この頃、まれにねばっとした糞を見ることがありました。

<この頃注意していたこと>
ラベンダーを基調としたアロマテラピー。
保温が必要なため放鳥時間を増やすのではなく、なるべく視界
にいてあげること。
加湿。
2月初旬にはこの姿になりました。
毎日1日中毛づくろいはしていませんが、スイッチが入ると1晩で
姿が変わってしまいます。
この部分、この部分と増えて行き、無事なのは頭だけに
なってしまいました。

リンの健康診断の際、血液検査の予約を入れました。
病気の可能性を調べてもらい、精神的なことだけなら、
もう覚悟を決めてがんばるしかないと思いました。

さすがに抜いたり齧ったりする羽がなくなったので、
あまり毛づくろいはしなくなりましたが、いつ自咬まで行ってしまうか心配していました。




この頃カイの体が異常に暑く感じました。
ケージから外へ出るとひざ掛けにもぐりこんで抱っこをねだってばかりいました。

餌もペレットはまったく口にしなくなり、種餌ばかりを食べていました。

獣医さんでの血液検査の結果は意外なものでした。
「腸炎による栄養失調」
体が熱いのも炎症があるため。
もっと他も病気なのかと思っていましたが、お腹の具合が悪いのかぁ。
人間の子供が学校や家庭に嫌なことがあるとお腹を壊しますが、
カイは寂しくてお腹を壊してしまったのかな?
しかし、腸炎も治すのに時間がかかる病気です。

カイちゃん、がんばってぽんぽん治そうね。

<この時までに注意していたこと>
羽をどかっと抜いていても、反応を示さないようにしました。
糞の状態と体重に気をつける。
毛引きに関しては気にせず、まずは腸炎の治療を優先する。
カイのケージ内の環境を変える。
(おもちゃや寝袋など)
飼い主は教習所もほっぽり投げて、カイに張り付くようにして
過ごしていました。
獣医さんで出して頂いた薬も飲んで、酵素を振りかけたフルーツ
も食べて、カイもがんばってました。

食が変わったのは栄養が不足していたからのようです。
一気に抜いてしまったのも、栄養不足によるイライラのようです。
きっかけは寂しさからですが、病気が毛引きを後押ししてしまったのでしょう。
最初に抜いてしまった胸元から順番につんつんと羽が生えてきました。

背中と翼・しっぽに関しては抜かずにちぎっているので、
根元が抜けるまでは生えてきません。

カイは寒いらしく、外に出ると「抱っこ!抱っこ〜!」。
気の済むまで抱っこして暮らす日々。
その上、リンのしっぽや翼の羽を狙っているし・・・。
毛引きが落ち着くまであまり一緒には出来ません。
せっかくのお友達なのになぁ。

でも隣のケージにリンがいると気が紛れるみたいです。
リンが暴れているのを、あきれた顔で眺めたりしています。

獣医さんで「羽が生えてきたね。」と褒められるとうれしそうです。
翼を広げてみせびらかしたりしています。

<この時までに注意していたこと>
羽が生えてきたことを褒める。
リンよりもまずカイを優先する。
食の変化に合わせて酵素をどうやって飲ませるか考える。
ケージからの呼びかけに、なるべく返事をする。
現在ここまで回復しています。
1番最初に抜き始めた胸の辺りはほぼ白くなりました。
お腹のグレーの辺りにも、つんつん羽が顔を出しているので、
それが広がれば元通りでしょう。

背中や翼・しっぽは、元の根元が残っているので、まだそんなに
生えてきませんが、少しずつ生え変わっています。


まだ終わったわけではありません。
何かあればどかっと抜いてしまうかもしれません。
ただ、毛引きになった頃のように、人間の都合を無理やり押し付けないように、気をつけます。


毛引きは「ドライな季節にウエットな性格の鳥がなる病気」と
言われています。
気に入らないから噛み付いたり、ケージから出なかったり、
態度に出せる子はそこで発散できるので大丈夫なのかも
しれません。
カイみたいな
「おとうちゃん、おかあちゃん大好き」な「俺っちはいい子ですよ〜!」な子はストレスを抱え込んでしまうのかもしれません。
自分の鳥の性格を良く理解し、日頃から考えてあげる努力を
人間がしてあげないといけないのかもしれません。

まだ当分の間は腸炎の薬が必要です。
ねばっとした腸の組織が一緒に排泄されている糞は、まだ時々
見られます。
留守番がなくなり、リンが来たことで精神的にも落ち着きが
見られます。
おもちゃに対する興味も今はまだ、あまりないようです。


2007年4月現在
その後は後日追記予定


カイの血液検査の結果です。
これを見ると白血球の単球の値がやや高いのがわかります。
高値の中に炎症という言葉があります。
他の結果より、感染症などはないことがわかります。
正常範囲の数値はシロハラインコのものです。
表の中の赤字は、先生が説明しながら書いてくれたものです。
正常範囲はシロハラのもので、*がついているものはオカメインコの数値です。
コレステロール・中性脂肪共に低いです。
双方とも、吸収不全であることがわかります。
アルカリフォスタファーゼは高いです。
ここで初めて腸炎という言葉が出てきます。
蛋白が低いです。
慢性腸炎と吸収不全。
アミラーゼが高いです。
急性膵炎の可能性もあるのですが、この時点ではまだそこまで行っていないとのこと。
ここでも腸炎を示しています。


カイが行った検査は、ほぼ全ての項目の血液検査と、糞便検査です。
私は甲状腺機能低下症などの病気を疑っていましたが、結果は腸炎でした。
糞はときおりねばっとしていたので、ジアルジアなどの腸管寄生虫も少し疑いました。
検査の結果は腸炎だったので少しほっとしましたが、逆に原因はストレスだと
突きつけられたようなものですね。

毛引きと言うと「ストレス」とすぐ思いがちですが、影に病気がかくれているかもしれません。
獣医さんで検査はすぐにしてもらうべきだと思います。
早ければ早い方がいいです。
最初は「ストレス」だったとしても、今は病気に姿を変えている可能性があります。

原因となる「ストレス」は直前にばかりあるとは限りません。
ある程度は鳥もがまんするからです。
1ヶ月前かもしれないし、半年前かもしれません。
その間にあった変化を1つずつつぶして行ってあげてください。
毛引きには様々な対処法があるようです。
自分の鳥さんに合うものを、ぜ〜んぶ試すつもりでがんばるしかありません。
「これですぐに治る」という魔法の薬はありません。
毛引きに悩む鳥さんたち、早く生えてくるといいね。
抜かないようになるといいね。


根本的な見直し


さて、だいぶ回復傾向にあるカイですが、上記に挙げた原因が正解という訳ではありません。
あくまでも飼い主が飼い主の立場で考えたものです。
本当の理由はカイが話ができるようにならないとわかりません。
飼い主も少し落ち着いて考えられるようになったところで、もう1度再考してみようと思いました。
病気については主治医の先生のおっしゃる通りなのだと思います。
しかしそうなった原因については、常に一緒にいる飼い主が思いやってやるしか方法はないと思ったからです。

まず、カイになったつもりで1日のスケジュールを思い返してみました。
我が家へやって来た頃から今までの全てについてです。

4月になり、カイも羽をむしることはしなくなってきました。
リンともだいぶ仲良く遊べるようになりました。

まず原因ですが、カイが我が家に来た頃は、私も仕事をしていましたので、帰宅後たっぷりと遊びの時間を取っていました。
仕事を辞めてからも、同じ時間帯は同じように相手をしていたのです。
飼い主から見れば2〜3時間たっぷりと遊んでいるつもりでした。
でも、カイから見れば違っていたのかもしれません。
今までは家にいると必ず遊んでくれていたのに、かまってくれない時間が出来たと思っていたのかもしれません。
留守番の時間の長さをカイはどう感じていたのでしょうか?
もしかしたら、1回は1回と思っていたのではないでしょうか?
10分の留守番も、8時間の留守番も同じ1回だとしたら、私が家に
いるのに、ちょくちょく視界から消えたら留守番ばっかりですよね。

しかも前みたいにずっと一緒に居てくれなくなって…。

遊びの時間の見直しから始めてみることにしました。
カイの相手をしながら様子を見ていると、気づいた事があります。
どうやら時間の長短ではなく、ちょっとずつ何回か遊んでいるだけでも
変わりはないようです。

少しずつ無理のないように時間を減らして行って、(リンの存在の力も借りていますが)1回に1時間〜1時間半程度の遊び時間にしてみました。
私が家にいても、この時間帯は遊べない日課を作りました。
基本的に朝起きて、午前中は餌を食べ、おやつを食べ、リンにちょっかい
を出して暮らしています。
午後2時頃1度ケージから出て、遊んだり歌ったり、プロレスしたりして
ケージに帰ります。
暖かい気候の時期はこの時間が散歩の時間になります。
その後は夜にお風呂上りのバスタオルで遊んだり、主人に何か言いつけたりする時間までケージで遊んでいます。

カイもリンもその時間が待ちきれないので、そわそわして来たりするように
なりました。
午前中は呼び鳴きもせず、2羽でしきり網ごしにじゃれたり、相談したり、ケンカしたりしているようです。

「カイちゃんは人間みたいだから。」
そう言われて、カイは本当に幸せなんでしょうか?
シロハラインコらしく、鳥としての日常を送る方が絶対幸せに違いありません。
リンというお嫁さんももらったことですし、シロハラ同士の幸せを感じて欲しいと願っています。
相変わらず繊細で人の顔色を見るクセは抜けていませんが、少し大らかな面も見えてきました。
リンのお陰ですね。

私達のことを父母を思い、絶大なる信頼を寄せてくれるカイのことを、かわいくない訳がありません。
でもそれがカイにとって、自分の体を壊すくらいのことなら、ただの鳥でもいいんです。

幸せで能天気な一生を送ってくれたらそれで私達も幸せだと感じることができます。

2007年11月現在 あとは風切り羽が生え揃えば完璧です。
でもこの冬を越えて再発しなければそこで初めて完治したと言えるのでしょう。
お腹の方もだいぶ良くなってきました。
今年いっぱいで漢方薬へ切り替えをし、春には薬を止められたら
いいなぁと思っています。


役に立ったもの

体が丸坊主になってしまったカイ。
丁度季節も冬であるため、とても寒そうでした。
体が熱を持って熱くブルブルふるえていたので、丁度手元にあったフリースでベストを作って着せていました。
こんな形に適当に切っただけです。
羽が通せる長さに切り込みを入れます。
両端を縫い合わせて頭からかぶせて着せます。
注意するのは前の丈が歩くのに邪魔にならない長さにすること。
これは毛引きを抑えるのにも効果がありました。

簡単なので男性にも作れると思います。

脱がす時は縫い目をほどかなければならないのが難点と言えますが…。